カプチーノ·カシス
「もし、一人になれる時間があったら電話する」
「……無理、しないで下さいね?」
「うん……でも多分したくなっちゃうから、するよ」
彼はそう言ってあたしに素早く口づけると、あたしの家とは反対方向の道へ歩き出した。
大阪でしたキスは、深くて激しい貪り合うようなキスだったけれど、今した触れるだけのキスの方が現実味があって、あたしは喜びを深く噛みしめることが出来た。
あたしの想いは本当に課長に届いたんだと、唇に残る熱が証明してくれてる。
これから課長は家に帰って、奥さんの手料理を食べたり、娘さんと一緒にお風呂に入ったりするのかもしれないけど、そんなの全然平気。
彼は、あたしを欲してる―――。
それを確かに感じることが出来て、あたしはその夜有頂天だった。