カプチーノ·カシス


――ハルに対して、不確かではあるけれど前とは違う感情を抱き始めていることは認める。

でもそれは一度心の隅に追いやって、あたしは次の日の仕事終わりに予定通り、課長を自分の家に招いていた。


「――手作りはデザートだけで申し訳ないですけど」


そう言いながらテーブルに並べるのは、デリバリーのピザやオードブル。

あたしだって料理ができないわけじゃないけど、きっと課長の奥さんに敵うほどの腕はない。

そんな所で張り合うよりも、課長と触れ合う時間を長く確保する……その方がずっとあたしの良さをわかってもらえる気がした。


「充分だよ。武内さんも早く座って? 乾杯しよう」

「はーい」


冷やし固めている途中のシャーベットを一度かき混ぜ、また冷凍庫に戻したあたしはキッチンから出て課長と向かい合う。


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