カプチーノ·カシス


「この間も、似たようなことできみを傷つけた気がすると思って」

「この間……?」

「おととい……かな。俺が石原にクリスマスのことで色々言われてたの、武内さん歯を磨きながら聞いてたろ?」


……聞いてた。

そして傷ついて……ハルの前で、泣いた。


「俺……あの日、抱いてないよ」

「え……?」

「妻のこと、抱いてない」


嘘……だよね、きっと。

あたしを喜ばせるための――……


「いいですよ、嘘つかなくて。あたしは全然平気ですから」

「嘘じゃないよ。もし抱いた後だったら、あんな風に平然と武内さんに電話なんてできない」


本当…なのかな。だとしたら、嬉しい。

目の前のシャーベットに注いでいた視線を上げると、課長のそれとぶつかった。

その瞳は既に、あたしへの欲望が滲んで熱を放っていた。


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