カプチーノ·カシス
「あ、ギャップにくらりときました?美波、こう見えて料理得意なんですよ」
「…うん…意外」
くらりときた、とまでは言わないけれど、彼女を見る目が少し変わったのは確かだった。
こうして話してみなきゃ解らないことって、たくさんあるんだな……
僕はそんなことを思いながらよく晴れた空を見上げた。
ふわふわと、形を成さないぼんやりとした雲がいくつも浮かんでいる。
春はいつだって、この雲のような不確かな期待を人に抱かせるんだ。
春はいつも何かの始まり。
それは学校であったり仕事であったり……
そして恋であったり。
今美波ちゃんとこうして並んで歩いているだけで、僕の中にも何か淡い期待が生まれつつあるような気がした。
春の陽気のようにあたたかくて眩しい、そして胸をときめかせる……期待が。