カプチーノ·カシス
「…美波ちゃん」
「はい?」
小首を傾げた美波ちゃんを見て、僕の胸はドキドキと高鳴る。
紙カップを持つ彼女の手にそっと自分の手を重ね、徐々に顔を近づけていく。
そして唇が触れるまであと数ミリ……というところで、美波ちゃんが僕の体を控えめに押し返した。
「あの……石原さん」
「……ごめん、嫌だった?」
いきなり迫りすぎたかも、と後悔の念が沸き上がり、僕は不安げに彼女を見つめた。
「違います!そうじゃなくて…」
美波ちゃんはチークの色より鮮やかな赤に頬を染めて、僕を見る。
「言葉が欲しいです……石原さんの口から、ちゃんと」
……ああ、そうか。
僕、まだ伝えてなかったんだっけ。
あまりに短い間に生まれた恋だったから、好きだと口にするのを忘れていた。
そして彼女の気持ちの確認も……