カプチーノ·カシス
僕はゆっくりと口を開いた。
「最初はね、っていうか今日ここに来るまでは苦手だと思ってたんだ、美波ちゃんのこと」
愛海ちゃんのこと、母さんのこと、色々傷ついた僕の心に土足で踏み込んできて、無理矢理かさぶたをはがそうとするのは止めてくれ……
そう思っていたんだ。
「でも……」
僕はそこまで言ってふっと微笑む。
美波ちゃんはそんな僕を犬みたいに濡れた目でじっと見つめ、話の続きを待っている。
「その一生懸命な気持ちを初めて真正面から受け止めてみたら、すごく心地いいってことに気づいたんだ。美波ちゃんと一緒に居ると楽しいし、もっときみを知りたいと思う」
「……石原、さん……」
「“好き”の分量は、まだ美波ちゃんの方が多いかもしれないけど、僕の気持ちも嘘じゃない。
……美波ちゃんが、好きだよ」
僕が言うと、ずっと潤んでいた美波ちゃんの瞳から、とても綺麗な涙がひとしずく……頬を伝って落ちた。