tender dragon Ⅰ
気まぐれな性格も、可愛い笑顔も、フワフワした綺麗な髪も、あたしの頭を優しく撫でる男らしい手も。
全部全部、大好き。
ずっと傍にいたいと思ってしまう。
それはカッコいいから、とかそんな単純な理由じゃない。
希龍くんだから。相手が希龍くんだから、不思議と引き寄せられるんだろう。
希龍くんだけの魅力があたしを虜にする。
ほら、こうやって逃げてるときだって、自然と希龍くんのこと考えてしまう。
結局離れたって、忘れられないんだよ。
…ねぇ希龍くん、助けて。
守ってくれるって言ったでしょう?
だんだん縮まる距離に、呼吸が乱れる。
あたしが怖がってるのを楽しんでるみたいに、徐々に距離を詰めてきていた。
今すぐにでも走り出したかった。
でも、あたしが走ったって逃げられるわけないから、そんなこと出来ない。
まだ、ダメだ。