tender dragon Ⅰ
たまたまだったのかもしれない。
不良っぽい高校生数人が、マンションの前を横切った。それはきっと、さっきあたしを追っていた男の人の仲間だと思う。
それは紛れもなく、"狂羅"の人間。
あと少し遅かったら、たぶんあの人たちに見つかってた。あたしはここにいなかった。
そう思うと、震えが止まらない。
エレベーターに乗ったときも、カバンの中から鍵を探していたときも、震えたままだった。
ほんとに、ほんとに怖かったんだよ。
震える手で鍵を開けて、家に入った途端、玄関に座り込んだ。
足の力が抜けてしまって、立てない。
涙も止まることを知らなくて、ポタポタと溢れ出す。それを拭う力も入らなかった。
ポタポタと落ちる涙があたしの手の甲を濡らしていく。透明な涙は、あたしの体から出たとは思えないほど綺麗なものだった。
―ピンポーン…
突然、背後で鳴り響くチャイム。
一瞬にして体が強ばった。