tender dragon Ⅰ

まさか……バレた…?

家にはいるとこ、見られてた?

頭の中でガンガンと危険信号が鳴り響くのに、体は思うように動いてくれなかった。


……鍵、閉めてないや…


―ピンポーン…


もう一度鳴り響くチャイムが、更にあたしの体を強ばらせた。

動けない。

手を伸ばせば届く距離に鍵はあるのに、その数十センチがどうしても遠く感じてしまう。


お母さんやお父さんならチャイムを鳴らしたりしない。この家に帰ってくる人間は、他にいないんだから。


―ガチャ


ドアが開かれる音に、ギュッと目を閉じた。

震える手を必死で押さえようとするけど無理だった。だって、あんなに頑張ったんだよ。怖かったのに1人で頑張ったんだよ。

ほんとは助けてほしかったのに。

今だって助けてほしいのに。


神様はどうしてこんなにも、あたしに意地悪なんだろう。

もう、逃げる気力なんて残ってないよ…

< 251 / 428 >

この作品をシェア

pagetop