tender dragon Ⅰ
まさか……バレた…?
家にはいるとこ、見られてた?
頭の中でガンガンと危険信号が鳴り響くのに、体は思うように動いてくれなかった。
……鍵、閉めてないや…
―ピンポーン…
もう一度鳴り響くチャイムが、更にあたしの体を強ばらせた。
動けない。
手を伸ばせば届く距離に鍵はあるのに、その数十センチがどうしても遠く感じてしまう。
お母さんやお父さんならチャイムを鳴らしたりしない。この家に帰ってくる人間は、他にいないんだから。
―ガチャ
ドアが開かれる音に、ギュッと目を閉じた。
震える手を必死で押さえようとするけど無理だった。だって、あんなに頑張ったんだよ。怖かったのに1人で頑張ったんだよ。
ほんとは助けてほしかったのに。
今だって助けてほしいのに。
神様はどうしてこんなにも、あたしに意地悪なんだろう。
もう、逃げる気力なんて残ってないよ…