tender dragon Ⅰ
「……美波。」
あたしの名前を呼ぶその声は、あたしの大好きな甘い香りは、紛れもなくあの人のもの。
「な、んで…?」
涙がポタリとこぼれ落ちた。
「遅くなってごめんね。」
玄関に座り込むあたしの目線に合わせてしゃがむと、ゆっくりあたしを引き寄せてギュッと抱き締めた。
あぁ、やっぱり来てくれた。
やっぱり、助けてくれた。
「きりゅ、くん…っ」
目の前にいるのは紛れもなく希龍くんで、それが分かった瞬間涙がポタポタと零れ落ちた。
息を切らした希龍くんが、あたしをちゃんと強く抱き締めてくれるから、止まらなかった。
「怖い思いさせてごめん。」
ちゃんと走ってきてくれたんでしょ?
あたしひどいこと言っちゃったのに、こうやって助けに来てくれただけで十分だよ。