tender dragon Ⅰ
「何で、あいつなんだよ…」
何でかなんて、あたしにも分からない。
でも、気づいたら惹かれてて、いないと寂しくて、すぐに会いたくなっちゃって。ずっとそばにいたいと思ってる。
それに理由なんて、ない。
「……俺じゃダメ?」
「え?」
葉太の言葉に耳を疑った。
思わず顔を上げて葉太を見ると、あのときと同じ葉太がいて。
あの日。葉太が酔っぱらってて、あたしにキスしてきた日。葉太は覚えてないんだろうけど。
「俺、自信あるよ。」
男らしい葉太の顔はあたしに向いていて、目はあたしだけをしっかり見つめている。
目を反らしたいのに反らせない。
「何…?」
「美波を幸せにする自信。」
温かい葉太の手が、あたしの頬に添えられる。突然のことで驚いて、ビクッと反応してしまった。
あたしを幸せにする自信?
迷いなく、言い放った。
「葉太、何言ってんの…?」
「分かんねぇ?俺が言ってること。」
分からない。
何?葉太は、何を言ってるの?