tender dragon Ⅰ
「遅くなって、ごめんね」
やっぱり、来てくれた。
あたしと目線を合わせるように、しゃがみこんで頭を撫でる。
優しい彼の手。
「希龍く、ん…っ」
久しぶりに、目が合った。
久しぶりに、希龍くんに触れた。
「怖かった?」
「っ…うん」
「…ごめん。もう大丈夫だから」
優しくあたしの手を引いた。
「行こう。」
暖かくて、優しくて、涙が出る。
やっぱり、どこまでも優しい。
「蒼空も大丈夫だから。」
力強くそう言う。
弟が危ない目に合ってて心配じゃないわけないのに。それでもあたしのところに来てくれた。
ちゃんと、助けに来てくれた。
もうそれだけで、十分だった。