tender dragon Ⅰ
希龍くんの大きなバイクに乗って数十分走り続けると、あたしには無縁な場所に着いた。
そこには見たこともないくらいたくさん集まった龍泉の人達がいて、希龍くんを待っていた。
全員が希龍くんのあとを続く。
先頭にいる希龍くんは、誰が見たって龍泉のトップで、迫力があった。
「蒼空は?」
希龍くんが隣にいる葉太にそう聞くと、葉太は建物を指差す。
「そ、行くか。」
なんて言って微かに笑う。
こんな状況で笑う彼は、やっぱり強心臓だ。
「美波、蒼空のことよろしく。」
希龍くんはそう呟いて、大きなドアを開いた。
大きな音をたてて開くドアの向こうには、さっき見たばかりの厳つい人達がいる。
その奥に、蒼空くんはいた。