tender dragon Ⅰ
「さてと、じゃあ俺らは一足先に病院行く?」
窓の外の光景をジッとみていたあたしに、安田さんが言った。
そうだった。
蒼空くんは傷だらけで、手当てしなきゃならないんだった。
「そうですね」
シートにもたれ掛かった蒼空くんは目を閉じていて、疲れてるようだった。
「心配しなくても、龍泉が勝つよ。」
「え…?」
「本物の金龍がいるからね」
安田さんもあたしと同じように窓の外を見て、希龍くんを見て嬉しそうに笑う。
「吹っ切れたみたいだよ。俺は俺だからって。まぁ、最初から劣ってるなんて思ってなかったけど」
劣ってるなんてことがあるわけない。
あの人以外に龍泉のトップがつとまる人なんているわけないんだから。
「安田さんの言った通りでしたね。」
「俺何か言ったっけ?」
「希龍くんが本物の金龍になるって言ってたじゃないですか。」
「あー…、あれね。誰よりも、俺が期待してたのかもしれないから」
安田さんは大人っぽく微笑むと、窓の外を一度だけ見て車を進ませた。