tender dragon Ⅰ


「骨折れてるくらい痛いなら早く言ってよ!」

「…言ったら美波、俺よりパニックになると思ったから」


春斗と同じ病院で治療を受けた蒼空くんは、帰ってきたら腕に包帯を巻いてた。

春斗の病室で大きな声を出しちゃいけないのは分かってるんだけど、大きな声を出さずにもいられない。

だって、腕の骨折れてるんだもん。


「他に怪我は?」

隣で呆れてる安田さんが、壁に寄りかかって蒼空くんに聞く。

「相手、素手だったし。そんなに大きな怪我はねぇよ。」

綺麗な顔に大きな絆創膏やガーゼ。

不似合いもいいとこだ。


「美波は怪我ない?」

「うん、あたしはないよ」

「そ、よかった。」


ピッ、ピッ、と一定のリズムで響く音。

まだ目を覚まさない。

でも、看護師さんが言ってた。

容態は安定してるから、もういつ目を覚ましてもおかしくないって。

きっと、もうすぐだよね。

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