tender dragon Ⅰ
「どこ行くの?」
「あ、家来るっ?」
芽衣が少し嬉しそうに、あたしの手を掴む。
目がキラキラしてて、断れそうもない。
断るつもりなんてないんだけど。
「ねっ?おいでよ!」
「じゃあ…、お邪魔しよっかな」
「やった!じゃあ行こ!」
手を離された遼太くんはあたしの後ろでポツーンとしてて、少しふて腐れてた。
「遼太、行くぞ」
「俺の芽衣が!」
「芽衣はお前より美波がいいってさ」
「マジかよ!」
文句を言いながらもちゃんとついてくる。
遼太くんはきっと、誰よりも芽衣が大切で。だから女のあたしにも嫉妬しちゃうんだろうなぁ。
「バイバイ、春斗」
目を閉じたままの春斗。
いつもと同じように話しかけて、病室を出た。