tender dragon Ⅰ

――――――
―――――――…

「ねぇ、芽衣の家ここなの?」

「うん、そうだよ」

着いた先はあたしが何度も来たことのある見覚えのある場所だった。

……ていうか、最近毎日来てた場所。


「安田さんと同じマンションなの!?」

「うん、そうだよ?」

安田さんが住んでるマンション。

いつも降りる階よりも少し上で、エレベーターは止まった。


「何だ…そうだったんだ」

「ほらっ、美波入って!」

強く手を引かれる。


そっか、ここが芽衣の家かぁ…

芽衣の家ってことは、希龍くんが住んでる場所ってことになる。

こんなに近いなら、帰って寝ればいいのに。


「ただいまー!」

「おじゃまします…」

見慣れた構造の部屋。

でもやっぱり安田さんの家とは雰囲気が違う。


「おかえり。あら、友達?」

初めて見た芽衣の家が新鮮でキョロキョロしてると、リビングから出てきた女の人。

お母さん……にしては若いような…

「うん、友達!」

あれ、でも芽衣に似てるかも。

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