tender dragon Ⅰ

特に大智さんは希龍くんによく似てた。

美憂さんにも、似てるのかも。


「蒼空!何その怪我!!」

後ろから聞こえたその声は、さっき聞いたばかりの美憂さんの声。


「…狂羅だって」

「お、折れてる?痛くないっ?」

心配そうにオロオロする美憂さんを、蒼空くんは呆れたような顔で見る。


「折れてるけど、今は痛くない」

「いっぱい怪我してる!」

口元を覆った美憂さんは、蒼空くんの顔に貼られた絆創膏やガーゼを見てる。

そしてクルッと回って大智さんのところに戻ると、焦ったように話し始めた。


「どうしよう大ちゃん、蒼空の骨が折れてるんだけど!」

「見れば分かる。」

「いっぱい怪我してるよ!」

「…美憂、落ち着けって」


焦ってる美憂さんとは真逆で、大智さんは至って冷静。きっと見慣れてるんだろうな。

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