tender dragon Ⅰ
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「おっ、美波もいるじゃん!」
「葉太っ」
ご飯を食べ終わって芽衣の部屋でみんなで話していると、葉太と希龍くんが当たり前のように帰ってきた。
頬に少しだけ、傷があった。
「おかえり!」
芽衣は立ち上がって、慣れたように救急箱を持ってくる。
「ただいま」
笑顔の希龍くんが、隣に座る。
近づくだけで、心臓が跳ねる。
こんなにドキドキするのは、相手が希龍くんだから。
「美波は希龍の手当てしてくれる?」
「えっ!?」
あたしたちが今いるのは芽衣の部屋で、女の子は芽衣以外にあたししかいなくて。
手当てが出来る人が他にいない。
…でも…
「何?」
希龍くんの顔を間近で見るのはすごく緊張するというか…
「はいっ、よろしくね!」
あたしが返事をしないから肯定と受け取ったみたいで、消毒や絆創膏を押し付ける。
「あたしがやるの…?」
あたしの小さな声は芽衣に届いてないみたいで、もうすでに葉太の顔をガッチリ掴んでる。
遼太くんはその隣でふて腐れて、蒼空くんは寝転がってそれを見ていた。