tender dragon Ⅰ

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「だーかーらっ、あたしは美波と寝るの!」

「お願い美波っ、譲って!」

「あ…、あたしはいいんだけど…」

「ダメ!」


安田さんの家に蒼空くん以外のみんなが集まって、3つのドアの前で揉めてる最中。

なかなか決まらなくて、眠れない。

芽衣と一緒の部屋で寝たいと言う遼太くんと、あたしと一緒に寝たいと言う芽衣。

あたしはどっちでもいいんだけど、芽衣はどうしてもあたしと同じ部屋がいいみたいで。


「…俺寝るわ。」

そんな会話に呆れた葉太は、当たり前のように自分の部屋に入っていった。

今日はいろんなことがあったから疲れてて当然だし、さっきから希龍くんも眠たそうに何度も欠伸をしてる。


「俺眠いんだけどなー」

「あたしだって眠いよ!」

呑気に言う希龍くんに、芽衣がすぐさま反応した。あたしも眠くなってきたけど。


「じゃあさ、じゃんけんで決めようぜ」

遼太くんがそう言うと、希龍くんはもちろん頷いて、芽衣もしぶしぶだけど頷いた。


「俺が勝ったら、俺と芽衣が同じ部屋で、芽衣が勝ったら、美波と芽衣が同じ部屋な!」

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