tender dragon Ⅰ
「女の子をソファで寝かせるわけにはいかないよ。だからダメ。」
分かってたのに、わざとだよ。
希龍くんがどこまでも優しいことも、あんな風に言えば断るってことも。
「おいで、美波」
「え?」
「だって、俺がソファで寝るのが嫌なんでしょ?俺も美波がソファで寝るのは嫌だから」
フワッと笑った希龍くん。
希龍くんに名前を呼ばれる度に胸がキューッと締め付けられる。
あぁ、やっぱりカッコいいなぁ…
「大丈夫だよ、何もしないから」
動かないあたしを見て、希龍くんはそう言った。きっと、前にもあったから。
キスをした日のことを、希龍くんもちゃんと覚えてくれてるんだ。
「…そんなこと気にしてないよ」
「そっか。」
何かされるとか、そんなことを気にしてるんじゃなくて、相手が希龍くんだから。
……緊張してるだけ。