tender dragon Ⅰ


「なー、美波」

「…何?」

「…俺のこと、嫌いじゃない?」

狭いベッドに2人で寝るとやっぱり狭くて、どうしても肩が触れ合ってしまう。


思わず希龍くんの方を見ると、希龍くんは少し悲しそうに天井を見上げていた。

やっぱり、あのときあたしが傷つけてしまっていたんだ。あんな酷い言葉で。


「…嫌いじゃないよ」

もしも逆の立場で、希龍くんに「大嫌い」なんて言われたらあたしだって傷つく。

「嫌いになったことなんて、一度もない。」


触れていた肩が微かに動いて、希龍くんの目があたしを捕らえる。

向かい合って、目を合わせて。

吸い込まれそうなほど綺麗な目だった。


「そっか」


綺麗な髪が、動く度にサラサラと揺れる。

ミルクティーのような色。

甘いものが大好きで、辛いものが苦手で。

マイペースな気まぐれで。

それなのに、龍泉のトップ。


「葉太から俺のこと聞いた?」

< 408 / 428 >

この作品をシェア

pagetop