tender dragon Ⅰ
「なー、美波」
「…何?」
「…俺のこと、嫌いじゃない?」
狭いベッドに2人で寝るとやっぱり狭くて、どうしても肩が触れ合ってしまう。
思わず希龍くんの方を見ると、希龍くんは少し悲しそうに天井を見上げていた。
やっぱり、あのときあたしが傷つけてしまっていたんだ。あんな酷い言葉で。
「…嫌いじゃないよ」
もしも逆の立場で、希龍くんに「大嫌い」なんて言われたらあたしだって傷つく。
「嫌いになったことなんて、一度もない。」
触れていた肩が微かに動いて、希龍くんの目があたしを捕らえる。
向かい合って、目を合わせて。
吸い込まれそうなほど綺麗な目だった。
「そっか」
綺麗な髪が、動く度にサラサラと揺れる。
ミルクティーのような色。
甘いものが大好きで、辛いものが苦手で。
マイペースな気まぐれで。
それなのに、龍泉のトップ。
「葉太から俺のこと聞いた?」