tender dragon Ⅰ
「あれで機嫌悪いの?」
確かにさっきのは少しイライラしてるように見えたけど、いつもはあんな素振りちっとも見せない。
それどころか、すごく優しいのに。
「あー、分かんねぇだろ?あいつ普段はすっげぇのんびりしてるし。美波のことも、巻き込んじまったことすっげぇ後悔してた。」
「何で?…だってあれは希龍くんのせいじゃないでしょ?」
「総長ならもっと考えて行動するべきだって言ってたんだ。あいつのせいじゃなかったとしても、美波が巻き込まれたことに変わりはない」
あののんびりした希龍くんがそんな風に考えてるなんて知らなかった。
「あたし、気をつけるから。希龍くんがそんな風に思わないようにする。絶対、狂羅に捕まったりしないからね」
本気でそう思った。
希龍くんがこれ以上自分を責めないように、希龍くんの笑顔が見られるように、あたしはあたしに出来ることをすればいい。