tender dragon Ⅰ
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「ただいまー」
我が家のように入っていく葉太。
ここは葉太の家じゃなくて、安田さんの家のはずなんだけどなぁ…
「お邪魔します…」
ここに入る前に、駐輪場に希龍くんのバイクがあるのを見た。
それに、玄関には希龍くんの靴もある。
ここにいるってことだ。
「おー、おかえり」
笑顔で出迎えてくれたのは、昨日と同じようにスーツを着た安田さんだった。
「希龍、イライラしてたぞ」
「あぁ、知ってる」
毎日のように来てるからか、お互いの些細な変化にもすぐ気づけるみたい。
「寝てんの?」
「おう、帰ってきてすぐにな」
リビングから繋がる、3つあるうちの1つのドアを見つめて喋る葉太。
あそこに希龍くんがいるんだ。