tender dragon Ⅰ

「あ、じゃあ俺辛口で」

葉太がそう言うと

「俺甘口じゃないと食べない」

と言って希龍くんがムッとする。


「どっちも作るから」

「あ、じゃあ俺手伝います!」


春斗くんがさっき座ったばかりのソファーから勢いよく立ち上がって、パタパタと走り寄ってくる。

その姿はまるで犬のようだった。


「希龍さん、頼み事って何すか?」

冷蔵庫をガサゴソと探りながら春斗くんが大きな声で希龍くんに話しかける。


「んー……春斗、最近暇?」

「はい、暇っす!」

「じゃあ、美波の送り迎え頼んでいいかな?」


……………はい?

あたしの送り迎え?

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