tender dragon Ⅰ
「美波さん、俺何すればいいっすか?」
好奇心旺盛な小学生みたい。何だろう、このしっぽが見えちゃいそうな勢い。
「じゃあ春斗くんは野菜の皮を剥いててもらっていいかな?」
「はい!」
何をするにも楽しそうな彼は、誰がどう見たって暴走族には見えないでしょ。
だってこんなにも純粋そうなのに。
「美波さん、俺のことは春斗でいいですから」
「え?でも…」
「美波さん高2っすよね?」
「うん」
そういえば、希龍くんも葉太も何歳なんだろ?
年齢は聞いてない。
知ってるのは、龍泉の総長と副総長だってことと、不良高で有名な西高に通ってるってことだけ。
よく考えたら、あたし2人のことほとんど知らないんだなぁ。
「俺、まだ高1なんすよ。だから、春斗って呼んでください」
「あれ、年下なんだ」
「はい、希龍さんたちの1コ下っす!」
ってことは、希龍くんたちはあたしと同い年なんだ。まぁ、言われてみれば違和感なんて全くないけど。