風に恋して
リアの寂しそうな微笑みを見て、セストはグッと拳を握った。

「いつまで、ですか?」

セストはリアの目をしっかりと見つめ返す。翡翠色の瞳には、確かにレオへの想いが映っていてセストは今度こそそれを守らなければならないと強く思った。

レオはリアを守れなかったと、リアが姿を消してから自分を責めた。でもそれは、セストも同じことで……

王家専属クラドールとして、レオの側近として、エンツォに接する機会は多々あった。彼の計画を見抜けず、失踪を許してしまったセストもまた、自分を責めたのだ。

リアを連れ戻しても、記憶を失ってしまった彼女にレオが心を痛めるのを間近で見てきたのもセストだ。

そのリアが再びレオに恋をしている。レオのために――自分の主のために――記憶を取り戻したいと願う彼の大切な人。

レオに忠誠を誓う自分に、それを助けないなどという選択肢は初めからないに決まっている。何よりセストは、レオのそばで2人のことをずっと見てきたのだから。

「できるだけ……早く、お願いします」
「承知しました」

その日から、セストは少しでも時間があれば研究室にこもるようになった。

すべてはレオのため、彼と彼の婚約者のため――
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