風に恋して
「お前は、大丈夫なのか?」
『んー、ぱー、ぱー』

レオが自分の身体に巻きつくように吹く風に問いかけると、その声はレオを呼ぶ。よくわからないが、大丈夫なのだろう。

「先ほどまではずっと泣き叫んでいたので、影響があるのかと思っておりましたが……どうやらお2人とも目を覚まさないから泣いていただけのようですね」

ディノがホッと息をつく。しかしすぐにレオに真剣な眼差しを向ける。

「レオ様、一体何があったのですか?あんなに激しい戦闘の跡が残っていたのに、誰も気づかなかったのですよ?」

誰も気づかなかった――結界でも張られていたのだろう。

「ディノ、お前はどこまで聞いた?」
「一応、大まかには。ただ、そんな余裕もありませんでしたので細かくは……」

レオはそれに頷いて口を開く。

「カタリナがエンツォだったんだ。それで、こいつが俺のところにリアの危機を知らせに来た」
『んー!ぱー!』

レオが手のひらに小さな風を作ってやると、その子は嬉しそうにそれに戯れ始めた。

「風移動を使って部屋に、エンツォと剣と呪文でやりあった。だが、あいつは何か薬を飲んでいたようだった。それで……っ」

奥歯を噛み締めて感情を抑える。最後に、おぼろげに見えたリアの涙。

「それで、エンツォは?」
「いや俺は……リアの記憶をあいつが開けたところまでしか、意識を保てなかった」

また、守れなかった。
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