風に恋して
エンツォのことを言っているのだろう。
確かに彼は、幸せとは言えない道を歩いてきたのかもしれない。けれど、ヒメナと過ごしていたときのエンツォには少なくとも安らぐ場所、幸せになれる場所――ヒメナの笑顔があった。
今は、憎しみにそれが覆われてしまっているだけで。
「エンツォみたいに、生まれながらにして“不幸”な人間もいるんだ」
「あいつは不幸な人間じゃない!ただ、真実を知らないだけで――っ」
レオがそう言った瞬間、シャンデリアが目の前に落ちてきた。ユベール王子とレオの間に散らばるガラスの破片。
「真実?そんなのは何の慰めにもならない!苦しみも、痛みも、現実だ!」
ユベール王子の身体が光を放っている。興奮して力が漏れているらしい。肩で息をするユベール王子を、レオは呆然と見つめた。彼がこんなに取り乱したところを初めて見た。
やがて、少しずつその光が消えてユベール王子が息を吐いた。
「いいことを教えてあげる。君はいつからエンツォが準備をしていたのか気にしてたみたいだけど、忘れない方がいいよ。彼の復讐は終わってない」
ニッコリと笑ったユベール王子の笑顔は歪んでいて、しかし、それが見えたのは一瞬。
「――っ!」
部屋が眩しいほどの光に照らされ、エンツォの気配を感じたかと思ったときには、レオの目の前に風の渦が迫っていた。
確かに彼は、幸せとは言えない道を歩いてきたのかもしれない。けれど、ヒメナと過ごしていたときのエンツォには少なくとも安らぐ場所、幸せになれる場所――ヒメナの笑顔があった。
今は、憎しみにそれが覆われてしまっているだけで。
「エンツォみたいに、生まれながらにして“不幸”な人間もいるんだ」
「あいつは不幸な人間じゃない!ただ、真実を知らないだけで――っ」
レオがそう言った瞬間、シャンデリアが目の前に落ちてきた。ユベール王子とレオの間に散らばるガラスの破片。
「真実?そんなのは何の慰めにもならない!苦しみも、痛みも、現実だ!」
ユベール王子の身体が光を放っている。興奮して力が漏れているらしい。肩で息をするユベール王子を、レオは呆然と見つめた。彼がこんなに取り乱したところを初めて見た。
やがて、少しずつその光が消えてユベール王子が息を吐いた。
「いいことを教えてあげる。君はいつからエンツォが準備をしていたのか気にしてたみたいだけど、忘れない方がいいよ。彼の復讐は終わってない」
ニッコリと笑ったユベール王子の笑顔は歪んでいて、しかし、それが見えたのは一瞬。
「――っ!」
部屋が眩しいほどの光に照らされ、エンツォの気配を感じたかと思ったときには、レオの目の前に風の渦が迫っていた。