風に恋して
立派な門、そこから伸びる1本の道。道の両脇には季節に合わせた花が植えてあり、客人をもてなす。奥には茶色の屋根の大きな屋敷。リアとエンツォ、そしてレオはレオの風で門の前に移動してきた。

ルカも面白がっているのか、自分が風を操れることが楽しいのか、レオを手伝うように出てきて先ほど消えた。

エンツォを城の外へ出すことにレオはあまりいい顔をしなかったけれど、リアがどうしてもと頼み込むと渋々首を縦に振ってくれた。

レオが承諾しなくとも、勝手に出てきてしまっただろうリアのことをわかっているのだと思う。

「エンツォ、つかまって」
「いい。俺がやる」

リアがふらつくエンツォの身体を支えるために彼の腕を取ろうとすると、レオがそれを肩に回してゆっくりと歩いていく。

「レオ様……申し訳ありません」
「……」

レオは不機嫌そうに顔を顰めてはいるけれど、そのゆっくりとした速度に異母兄への優しさが感じられる。リアはそれを見てクスッと笑い、2人の後をついていった。
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