風に恋して
「レオ?」

いつもと雰囲気が違うことを察したらしく、リアがレオを見上げる。レオはリアの身体を両手で抱きしめた。ほんのりとバラの香りが漂って、リアの柔らかい身体を薄いナイトガウン越しに感じる。

「ねぇ、レオ?」

リアは不思議そうな声でレオを呼ぶ。

「リア……ちゃんと、答えてくれ。俺のこと、好きか?」
「またそれなの?好きだって何度も言ってるでしょ?」

レオの問いに、レオの腕の中でリアの身体がほんの少しピクッとした。それを誤魔化すかのようにリアは笑って言ったが、声は少し硬い。レオは少しだけ身体を離して、リアの瞳を見つめた。

綺麗な翡翠色の瞳――レオだけを、映して欲しい。

レオの瞳には、リアしか映らないのに。

男として振舞い始めたレオを怖がっているだけなら、少しずつ慣れていってくれればいい。初めて会ったときも、そうやってリアの心に馴染んでいった。だから、きっかけを――レオがリアの恋人になるためのきっかけを、今……

「リア、俺は――」
「わ、たし……明日、朝早いの。お父さんが街に行くから、一緒に――」
「リア」

レオから視線を逸らし、言葉を遮るリアにレオも引かずリアの“言い訳”を跳ね除ける。

「だから、もう眠らな――」
「リア!」

それでも喋り続けようとするリアに、レオは大きな声を出した。リアがビクッとして黙る。
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