純潔の姫と真紅の騎士
「お客様です、カイ殿」
<聖剣士六士>の宿泊家の門番を担当している一般兵士が書類に目を通していたカイにハキハキと伝えた。
「客?」
「はい。アリウム様という方ですが、お通しいたしましょうか?」
アリウム、と聞いてすぐに頭に浮かんだのはスイレンのことだった。
「あぁ。通してくれ」
「承知しました」
兵士が事務室から出た数秒後、バタバタと慌ただしい足音が聞こえて、アリウムが入ってきた。
荒い息を整えることなくズイッとカイに手紙を押しつけると、その場に座り込んだ。
座り込み、小さく嗚咽をもらした。
嫌な予感がする。
「……何故、こうなってしまったんでしょうか……?世界は……腐っています」
アリウムは丁寧にスイレンの言葉を綴ってくれていた。
偶然俺と書類の整理をしていたシノがアリウムを落ち着かせてくれていた。
「戦乱の中に国は立ちます。肥沃で広大な大地、進歩した科学技術、教育を義務づけられた多くの民達。他国にとっては喉から手が出るほど欲するものであるそれらを有するドータル国にとって侵略と崩壊を拒むために必要だったのは最強の矛と盾。純粋な力です。力なくばドータル国は簡単に崩壊してしまいます。だから国は欲しました。世界を崩壊させるほどの力を擁する黒水晶の力とそれを制御できるわたしを。しかし、捧げられているものは罪と欲と血にまみれた屍だけです。それを欲しがる人は掃いて捨てるほどいます。けれど、わたしはそんなもの欲しくはありません。わたしが欲しいのは、《光》と《自由》だけです」
この、スイレンという神に裏切られ、黒水晶に魅入られた娘はずっと地下から逃げ出したいと喚く衝動を押さえ込んでいるのだ。
ならば、助けてあげるしか他に方法がないだろう。
カイはすぐに返事を書いた。
「アリウム、必ず、俺たちが助けてみせる。黒水晶も壊して世界を取り戻してみせる。長い時間がかかるかもしれないが、我慢してまっていてくれ。頼む」
アリウムはカイの言葉に深くうなずいた。
<聖剣士六士>の宿泊家の門番を担当している一般兵士が書類に目を通していたカイにハキハキと伝えた。
「客?」
「はい。アリウム様という方ですが、お通しいたしましょうか?」
アリウム、と聞いてすぐに頭に浮かんだのはスイレンのことだった。
「あぁ。通してくれ」
「承知しました」
兵士が事務室から出た数秒後、バタバタと慌ただしい足音が聞こえて、アリウムが入ってきた。
荒い息を整えることなくズイッとカイに手紙を押しつけると、その場に座り込んだ。
座り込み、小さく嗚咽をもらした。
嫌な予感がする。
「……何故、こうなってしまったんでしょうか……?世界は……腐っています」
アリウムは丁寧にスイレンの言葉を綴ってくれていた。
偶然俺と書類の整理をしていたシノがアリウムを落ち着かせてくれていた。
「戦乱の中に国は立ちます。肥沃で広大な大地、進歩した科学技術、教育を義務づけられた多くの民達。他国にとっては喉から手が出るほど欲するものであるそれらを有するドータル国にとって侵略と崩壊を拒むために必要だったのは最強の矛と盾。純粋な力です。力なくばドータル国は簡単に崩壊してしまいます。だから国は欲しました。世界を崩壊させるほどの力を擁する黒水晶の力とそれを制御できるわたしを。しかし、捧げられているものは罪と欲と血にまみれた屍だけです。それを欲しがる人は掃いて捨てるほどいます。けれど、わたしはそんなもの欲しくはありません。わたしが欲しいのは、《光》と《自由》だけです」
この、スイレンという神に裏切られ、黒水晶に魅入られた娘はずっと地下から逃げ出したいと喚く衝動を押さえ込んでいるのだ。
ならば、助けてあげるしか他に方法がないだろう。
カイはすぐに返事を書いた。
「アリウム、必ず、俺たちが助けてみせる。黒水晶も壊して世界を取り戻してみせる。長い時間がかかるかもしれないが、我慢してまっていてくれ。頼む」
アリウムはカイの言葉に深くうなずいた。