黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
「あれれー?
もしかして七夜くーん…。
…完全にビビっちゃってんのー?
足、震えてますよー?
…ぎゃははははっ!!」
……くッ……!!
核心をついた身も蓋もない発言に、額に、色々な感情が混じりあった嫌な汗が滲みはじめる。
足の震えを止めるために、両足に目一杯力をいれ、無理やりにそれを抑えつける。
拡大していく心の動揺を押し隠すために、冷静に翔太の顔を見据えている、ふうを装う…。
…そんな、必死に弱みをみせまいとする俺に、さらなる追撃の手が加わる。
「てめぇ結局、何しに来たんだここに…?
俺達にイジメられに来たのか?
それとも可愛がられに来たのかぁ?
あぁ゙…?」
…もちろんそんな問いに答えられるはずもない。
良雄を見据えたふりをして、しかしわずかに目を逸らす。
必死に高まっていく心臓の鼓動を、鎮めることに注力する。
…だが、そんな小さな努力が、ヤツを苛立たせる引き金となった。