黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□
そんな俺の様子に一切構うことなく、視界の上部から、男のがっしりとした手が伸びてきた。

そして。


…グイ。


抵抗やその他の動作を起こす余裕もなく、その左手に、俺のあごがつかまれる。


「う…っ」


そのままその手に、無理やり上方を向かされる。


…すぐそばにあった、征服感で満たされたような良雄の表情が、視界内に映り込む。


……こ、今度は…何を……


すっかり怯えきっていた俺には、無言のまま嬉しそうに歪む良雄の顔を、苦痛の表情で見つめ返すことしかできなかった。

良雄は俺のあごを、左手の人差し指と親指で、しっかりと固定する。

そして、あと数cmで…俺の唇と良雄の唇が触れてしまうくらいにまで、顔を寄せた。


俺の視界の7割が、見たくもない、良雄の顔で埋め尽くされる。

アップになった、嬉しそうな……それでもなお、威圧感あまりある顔の、唇周辺の筋肉が、ゆっくりと動く。


「…直接口移しでぇ、俺の唾液…飲ませてやろーかぁ…?
それとも…。
逆らうならもっと…いい液体(モノ)をぉ、お前の体内に注ぎ込んでやろーか……?」


…そう言って唇を閉じ、気味悪く口端を歪めた。

その悪魔のような表情と、ギラギラとした目つきに、一瞬、恐怖で息が止まった。


……車内にこだまする走行音……。


……見つめあう、恐怖で顔をひきつらせた俺と、悪魔のような笑みを浮かべる、良雄……。


……沈黙する、周囲のクラスメイト……。


そして走行音が不規則に乱れ……


……直後。


<良雄好感度、+1(※)>


→【232】

/(※) 好感度の説明は、本編の直前にあります。/
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