ジルとの対話
街の灯が舞い降りた星空に見える。スターリンはアンナを求めて、キースの家にやって来た。
「アンナに会いに来たのか。」
扉をあけたキースがスターリンに尋ねた。
「そんなんじゃ…」
スターリンはいいよどんだ。
「帰ってくれないかい。君は親友だから怒りはしないし、迷惑じゃない。でも自分の女をやるほどの義理はない。」
キースが扉を閉めた。
スターリンは全身に血が巡るのを感じた。
恥辱というものだ。
星と家々の灯りはスターリンを慰めなかった。美しい詩さえ彼を突き放した。

【私は何をしているのだろう。】

ただ、それだけがスターリンを支えると、街灯に照らされた石畳を歩いた。
街灯に導かれた虫は空しさを克服出来ない。

水銀灯に当たる虫の羽音をスターリンは聞いた。


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