巫女と王子と精霊の本


「なら残念。俺はあんたの大事なもん貰いにきたからな」


「…やっぱり鈴奈が狙いか」



えぇぇっ!!!?
私が狙いって何なの!!!?


「何で!?何で私!?」

「お前が巫女だから、利用出来ると思ったんだろう」



エルシスは眉間にしわをよせたまま答えた。


「まぁそういう事。でも悪いようにはならないって、上手くいけばここ程ではないが良い暮らしが出来るぞ?」


…は………?


「……良い暮らし?」

「そうだ、服も、宝石も領地も、旨い飯もお前のもんって事」


何それ……


「人身売買か」


エルシスは男を冷たい瞳で睨みつける。


「巫女様が一生遊んで暮らせるだけの財と権力はあるさ」


さっきから聞いてれば…


私は俯いたまま立ち上がる。


「それって私が、そういう暮らしがしたくてここにいるって言いたいの?」


私は怒りを必死に押さえて男の目の前に立つ。


怖いなんて気持ちよりも、今は怒りが上回っていた。


「だってそうだろ?巫女様なんてどんな奴かと思えば変な力使うわけでもない、ただの女だし。良い暮らし目当てで転がり込んだんだろ」



急に男の目が冷たく光った。


これが地ね。
へらへら笑ってたのは上っ面だったんだ。


「ま、俺は欲深い女は嫌いじゃないけど?」


―プチンッ


ついに頭の中で何かがブチギレた。


「ふざけんな!!!!!」


思いっ切り男を睨みつけ叫んだ。


皆私を見て唖然としている。エルシスやセレナもだ。


「あんたに…あんたに何がわかるの!?私のっ…何がっ…」



怒りで一杯のはずなのに、涙が溢れた。


悔しかった。
この世界が大好きで、ただ守りたくて…


沢山の人が傷ついて、私は無力だった。


それでも皆の傍でエルシスの隣で私なりに戦ってるつもりだった。


「私は、豪華な食事も、服も宝石もいらない!!私が欲しいのはこの世界の未来。エルシスが守るこの世界の未来だよ!!!」


いつか奪われてしまうかもしれないアルサティアの未来。


私はその為に……



「その為に大事なものは全て置いてっ…きた…の…」



悔しい。
私のこの想いや決意まで否定されたくない!!!








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