巫女と王子と精霊の本



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「わわ!もう地面に落ちちゃうよー!!」






気づけば地上には吹き抜けの建物がある。どうやらそこへとまっ逆さまに落ちているらしい。




「鈴君!」



鈴君の体を抱き締める。


せめて鈴君は守らないと!!
そう思って鈴君の体を強く抱きしめた、その時―…




―パァァァァッ!!!



鈴君の体が黄金に光り、私の落下速度がゆっくりと遅くなる。



鈴君の姿がない。
一体どうなってるの!?



『魔王は人にはなっていないよ』


「あ!フェル!?」




姿は見えないがフェルの声が聞こえた。



『この子は魔王としてしかこの世界に存在できない。それがこの子の役割だからね。でも…』



「わかってる。世界一幸せな魔王様にしてみせるよ!」




鈴君が魔王でも、私にとって大切な人である事はかわらない。



『この子は君を守ろうと力を使ったんだろうね。記憶は引き継いでいないのに』



そっか……私を守ろうとしてくれたんだ…



「ありがとう、鈴君!」


あの禍々しい力ではなく、温かい力……
鈴君に包まれているようで心強い。


この子がたまらなく愛しい……
私と一緒に、この世界で幸せになるんだ。


『そして、ほら…。君を待つ人も…』



そしてまたフェルの気配が消える。


気まぐれな人だけど、私を心配して見守ってくれてたのかな?なんて…
私の思い違いなのかな…


フェルに言われたとおりに下を見る。
そこには……



「エルシス!!?」


会いたくて会いたくてしょうがなかったあの人がいた。



十字架に願っていたエルシスが驚いたように顔を上げる。






































































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