巫女と王子と精霊の本


「もっと乾燥した草が良いって言ってるよ?」

「そうですか…。最近は雨も多くて草がきっちり干せなかったんですよ。わかりました、留意します」


世話係の人がお馬さんに話しかけた。


『何言ってるの、この人』

―そうしてくれるって!


そう言うとお馬さんは嬉しそうに仲間の元へと戻っていった。


「それじゃあ私はこれで…」

「ありがとうございました、巫女様!!」


皆にお礼を言われながら馬小屋を出る。


「よし!!」


そこから全力疾走した。


理由はシンプル。
エルシスの傍にいたくないから。


私がこれ以上あの人を好きにならないように、あの人の友として支えになりたいから。






< 95 / 300 >

この作品をシェア

pagetop