巫女と王子と精霊の本
「もっと乾燥した草が良いって言ってるよ?」
「そうですか…。最近は雨も多くて草がきっちり干せなかったんですよ。わかりました、留意します」
世話係の人がお馬さんに話しかけた。
『何言ってるの、この人』
―そうしてくれるって!
そう言うとお馬さんは嬉しそうに仲間の元へと戻っていった。
「それじゃあ私はこれで…」
「ありがとうございました、巫女様!!」
皆にお礼を言われながら馬小屋を出る。
「よし!!」
そこから全力疾走した。
理由はシンプル。
エルシスの傍にいたくないから。
私がこれ以上あの人を好きにならないように、あの人の友として支えになりたいから。