巫女と王子と精霊の本
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静かに寝息を立てる鈴奈の頭を、エルシスは優しく撫でた。
「好きって………」
…誰を想って言ったんだ?
幸せそうに笑い、切なそうに"傍にいて"と言った鈴奈の顔が忘れられない。
「鈴奈……」
俺は…俺ならお前の傍にいるぞ。きっと一人にはしない。
「鈴奈、お前は…天女じゃないのか…?」
突然現れて、未来を知り、精霊に気に入られたり、動物と話したり…
不思議な力を持つ女…
最初はそれで鈴奈に興味をもった。
だが今は……
「お前の心に惹かれている…」
鈴奈の頬を撫で、俺は顔を近づける。
「…鈴奈……」
声が掠れる。
自分でも驚くくらい心臓は早く脈を打っている。
「………っ……」
唇に触れる寸前、俺は顔を離した。