帰宅部にお任せを
「皆、準備して」
楓が合図をすると、帰宅部メンバーは動き出した。
まずわたしは、"お客さん"と楓の分の紅茶を用意。
ちょっと熱めにしとくと、飲む頃にはちょうど良くなる。
廉と颯は大きな扉のドアノブに手をかける。
一人しか通らないのに、わざわざ両開きの双方とも開けるのは節度。
楓はいつもお客さんと話をするソファーに腰掛け、その横には相変わらずパソコンの画面しか見ていない十夜。
そして曽良はというと―…
窓から外を眺めていた。
「今日の"お客さん"は、どれくらいお金を積んでくれるのかなあ…」
そんな甘い顔して金の亡者のような台詞はやめてもらいたい。
トン…トン……
準備が完了したのと同時に扉を叩く音がした。
どうやら扉の外の主は遠慮しているみたい。
「廉、颯」
楓がそう言うと、二人は扉を引く。
注意を払って引いているので、いつもの耳につく音もあまり気にならない。
バタン…
室内に依頼人が入ると、廉と颯はまた同じようにして扉を閉じた。
「いらっしゃい」
楓はほんの少しだけ口角をあげて、依頼人を迎え入れた。