帰宅部にお任せを
部室には見事に誰もいなかった。
…まあ、皆コートにいるから当然か。
「で、用って何っ?」
期待を寄せられている、と嫌でもわかってしまう。
さて、ここからが難しいところ。
俺はだんだん悲痛に満ちた顔を作っていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。
そして俯きながら低い声を出した。
「…実は昨日、今まで付き合ってた彼女にフられて……」
「え…!?」
途端に彼女も悲しそうな顔をした。
俺に同情なんてしていないだろう。
彼女がいたのか、ということにただショックを受けているだけ。
「そんなに長い付き合いではなかったけど、お互いどんどん冷めていったというか……。まあ、少しは悲しいんだけどな」
俺は無理をして笑うフリ。
すると、彼女は『そっか』と呟いた。
どうせ、その呟きの裏側は幸せでいっぱいなんだ。
笑みを隠し切れてないのがほら、
よくわかる―…。