帰宅部にお任せを

部室には見事に誰もいなかった。

…まあ、皆コートにいるから当然か。


「で、用って何っ?」

期待を寄せられている、と嫌でもわかってしまう。


さて、ここからが難しいところ。

俺はだんだん悲痛に満ちた顔を作っていく。


ゆっくりと、ゆっくりと。

そして俯きながら低い声を出した。


「…実は昨日、今まで付き合ってた彼女にフられて……」

「え…!?」

途端に彼女も悲しそうな顔をした。

俺に同情なんてしていないだろう。

彼女がいたのか、ということにただショックを受けているだけ。


「そんなに長い付き合いではなかったけど、お互いどんどん冷めていったというか……。まあ、少しは悲しいんだけどな」

俺は無理をして笑うフリ。


すると、彼女は『そっか』と呟いた。

どうせ、その呟きの裏側は幸せでいっぱいなんだ。


笑みを隠し切れてないのがほら、



よくわかる―…。
< 26 / 121 >

この作品をシェア

pagetop