secret name ~猫と私~
ドアを開けようとすると、中から声が聞こえてくる。

(トレと・・・クアットロ?)

あの2人はいつも言い合いをしているが、仲は悪くない。
喧嘩友達とでもいうのか、比較的一緒に居る事が多かった。

「お疲れさんです。」

笑顔で、ドアを開ける。

「あら、セッテ。おかえりなさ~い!」

「よっ。」

中に居た2人は、こちらを向いた。

セッテは自分の中にある沈んだ気持ちを隠しながら、丁寧にラップをかけられた夕飯を、電子レンジで温めた。
一汁三菜に、デザートのついた夕食は、セッテに料理を教えてくれた猫が毎日作ってくれる。
温め終わったものをテーブルに並べ、席に着く。
早く食べてノーヴェの部屋でビールを飲もう。
そう思って、手を合わせる。

「いただきます。」

一人で食べるときでも、挨拶はかかさない。
セイが作ってくれたであろう食事は、いつも美味しかった。

(・・・そうや・・・あの人、俺の料理美味しい言うてくれたな・・・)

仲間内で料理をした事が無い為、人から“美味しい”と言われた事は少ない。
休日は寮での食事が無いので、だいたい一緒にいるノーヴェが食事を作っているし、その手伝いはするが、誰かからそう言われる事が嬉しかった。
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