secret name ~猫と私~
「ちょっと、何辛気臭い顔してご飯食べてるのよ。」
半分酔ったような目のトレが、目の前にドンと一升瓶を置いて座る。
豊かな巻き毛を揺らし、セッテを見据えた。
トレは濃いアイメイクと派手な服装だが、均整のとれた体躯の美女だ。
ナンバー“3”の指名率を誇っている彼女は、主に女性の護衛等を仕事にしているため、細身に見えるが脱げばしっかり筋肉がついており、かなりの格闘技の使い手である。
しかし、美しさにこだわるので、一見モデルのような雰囲気しかない。
「まさか駐輪場に、ノーヴェが居なくて落ち込んでるんじゃないわよね?」
「ちゃいますわ。」
確かにそれで少し寂しかったが、落ちている理由は違う。
苦笑しながら返せば、疑うようなトレの目。
「・・・おい。」
クアットロがセッテの隣に座る。
彼も酔っぱらっているようで、内心溜め息を吐きたくなった。
見た目は子供のようなクアットロで、酒瓶が似合わないが、実はセッテよりも歳上である。
ナンバー“4”の彼は、警察からも捜査協力を依頼されるほどの、腕利きのハッカー。
口は悪いが冷静で、慌てているところを見せることはなかった。