secret name ～猫と私～

ノー残業デーなどという制度もあるが、ほとんど佳乃には関係ない。
セッテが歓迎会に誘われていたのは、今日がそのノー残業デーだからだろう。

「今日はこのまま帰っていいわよ。訂正、ありがとう。」

「え？あ・・・は、はい！お先に失礼します！！」

忙しかったせいで、ここの部署は誰もがしばらく定時で帰っていない。
早くても１時間残業。
遅ければ、深夜。

今度ある会社の発表会の為に、今休むわけにはいかない。
トントンと凝り固まった肩を自分でたたき、パソコンに向かう。

発表会は、“こんなものの設計・デザインをしています”というアピールなので、会場には色々な物が並ぶ予定だ。
小さい物は、スマートフォンのケース。
大きい物になると、ソファーなど。
招待客は業者ばかりだが、会社のアピールには必要なイベントである。
発表会を通して、新作のデザイン契約をもらえたりするので、設計部にとってはこのイベントが必要不可欠だ。