secret name ~猫と私~
「ジブン、1日中そうやって眉間よっとるんやなぁ。」
堪えきれず吹き出したという感じで笑われたので、眉間は更に寄ってしまう。
「仕事聞きに来たんじゃないの?」
余計なお世話だ。
つい、ムッとした声が出てしまった。
長時間書類やパソコンと向き合っている為、目が疲れてしまうので仕方が無い。
「たまにははよ帰ったらええんとちゃう?」
笑うのをやめて、佳乃を心配そうに見つめる目。
しかし、そんな目をされても帰れない。
やっておきたい仕事はまだまだたくさん残っている。
「それなら貴方は帰って。私はまだ・・・」
「せやかて、上司残っとったら、みんな帰りにくいで。」
小さな声で、ナイショ話をするように。
セッテは佳乃に忠告した。
言われて見回せば、先程帰っていいと言った社員でさえ、まだ残っているではないか。
彼の言うとおり、自分が帰らなければ、帰りづらいのか。
「な?たまには定時もええもんやと思うで?」
今まで気付かなかった事を、たった1日でセッテに指摘され、悔しかった。