短志緒

健吾は仕事を終えて、深夜にうちへとやってきた。

いつものように先にシャワーを浴び、うちに置きっぱなしにしている自分の部屋着に袖を通した。

まるで半同棲。

健吾は私に恋人ができても、自分に恋人ができても、週に3日はうちにやって来る。

だから私は一度も恋人をこの無駄に広い部屋に入れたことがないし、親友ですら特別な時にしか泊めない。

健吾は濡れた髪のまま、ソファーに腰を下ろした。

「話って?」

いよいよこの時が来た。

私はテレビを消し、ブランケットを肩に掛け直す。

「健吾、今付き合ってる人いるの?」

いつものノリで、自然に。

健吾は面倒くさそうな顔をして言った。

「まあ、いるよ」

……いるんだ。

先月別れたとか言ってたのに。

いつも次が早い。

「その子と結婚とか、考えてる?」

「全く考えてない」

「適齢期に差し掛かったのに?」

「差し掛かったけど、別にまだ結婚したいとか思ってない」

「でも好きなんでしょ?」

「まあ、たぶん」

たぶん?

なんて不誠実な男なんだろう。

ちょっと腹が立つし、ちょっと安心もする。

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