短志緒
私の悪態に健吾の視線が戻ってくる。
「バカって何だよ」
「もういい。よーくわかったから」
所詮私は、ただの使い古した性欲処理器だったわけだ。
私はそっぽを向いて頭からブランケットをかぶった。
涙なんか、見せたくない。
美しい私が振られて泣いちゃうなんて、みっともないったらありゃしない。
「え、何がわかったの? 俺、話が全然わかんないんだけど」
「バカだからでしょ」
「話をするんだったらちゃんと俺がわかるように話してよ」
「もういいの。話、なくなったから」
「なくなった? 大事な話じゃなかったの?」
心のどこかで、もしかしたら健吾も同じ気持ちなんじゃないかって期待していた。
親友が『健吾は私を好いている』と言い出したこともあって、正直なところ、少しだけ自信があった。
それに、健吾はいつも『梨香が一番イイ女だ』って言ってくれていたし、『誰と付き合っても梨香に比べれば見劣りする』って言ってくれていたから。
だから、もしかしたらって。
自惚れていたんだな、きっと。
忘れてた。
健吾は自分の都合で女を取っ替え引っ替えする、女の敵のような男だった。
その程度の台詞、誰にでも吐いていたのかもしれない。