短志緒

私の悪態に健吾の視線が戻ってくる。

「バカって何だよ」

「もういい。よーくわかったから」

所詮私は、ただの使い古した性欲処理器だったわけだ。

私はそっぽを向いて頭からブランケットをかぶった。

涙なんか、見せたくない。

美しい私が振られて泣いちゃうなんて、みっともないったらありゃしない。

「え、何がわかったの? 俺、話が全然わかんないんだけど」

「バカだからでしょ」

「話をするんだったらちゃんと俺がわかるように話してよ」

「もういいの。話、なくなったから」

「なくなった? 大事な話じゃなかったの?」

心のどこかで、もしかしたら健吾も同じ気持ちなんじゃないかって期待していた。

親友が『健吾は私を好いている』と言い出したこともあって、正直なところ、少しだけ自信があった。

それに、健吾はいつも『梨香が一番イイ女だ』って言ってくれていたし、『誰と付き合っても梨香に比べれば見劣りする』って言ってくれていたから。

だから、もしかしたらって。

自惚れていたんだな、きっと。

忘れてた。

健吾は自分の都合で女を取っ替え引っ替えする、女の敵のような男だった。

その程度の台詞、誰にでも吐いていたのかもしれない。

< 103 / 161 >

この作品をシェア

pagetop