短志緒

かぶっているブランケットに涙を吸わせて、ガバッとそれを翻す。

キリッと健吾を睨みつけると、健吾は本当に困っている顔をしていた。

「健吾」

これがトドメよ。

「うん」

「あたし、ずっと健吾が好きだったの」

健吾の丸い目が更に丸く広がった。

そしてそのまま固まっている。

とうとう言ってしまった。

好きだなんて、口から出してしまえば随分軽い言葉のような気がする。

思いをぎっしり詰め込んでいるのに、言葉に出すと昇華してしまうみたい。

「わかったでしょ? だからさっさと退散して」

あんたがいると、私はいつまでたっても次の恋が出来ない。

結婚なんてできるわけがない。

誰と付き合ってもうまくいかなかった。

私、このままじゃダメなの。

健吾はまだ固まっている。

「何とか言いなさいよ」

「あー……ごめん。驚いちゃって」

健吾は洗いたての髪をグシャグシャに乱し、次に頬をベチベチ叩いて座り直した。

そんなに動揺しなくても良いのに。

挙動不審にも程がある。


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