短志緒
とても甘くて愛おしい時間だった。
痛みはすぐになくなった。
私の門限が迫るまで、私たちは飽きもせず何度も抱き合った。
抱きしめて、キスをして、触れ合って。
健吾が私に与えるのは何も考えられなくなるほどの快感だけ。
私はきっと、この時すでに、健吾無しでは満足できない体にされてしまったのだ。
それなのに。
「あ、健吾。おはよー」
「おう、今日は一段と寒いな」
「雪、降るんだって」
付き合おうとか、そんな話にはならなかった。
私は好きだけど、そうとは口に出せなかった。
健吾からも期待できるような言葉は出なかった。
自分から好きだなんて言ったことがないから、どうして良いかわからない。
美女のプライドが自分から告白するなんて許さない。
そのうちどちらからともなく新しい恋人が出来て、別れて、出来て、別れて。
だけど、二人きりで顔を合わせると。
「うち、寄ってく?」
「うん」
秘密の情事に溺れてしまう。