とある神官の話





 遠退いた地面を浮遊感。危険だと言う前に、屋根に着地。道にはうごめいた影がこちらを見た。

 何あれ。

 影が沸騰した。そこから出てきたのは、黒。外套を纏った人。だが、フードから覗く顔は病的に白く、そして――――頬のあたりに一線。ひびが入っていた。



 "ひびが入っているような"



 まさか、と思う前に再び跳躍。「ぎゃ」やら「のわっ」やら私から声が洩れるのを「いやはや、面白い」などと言うから腹立つ。どこがどう面白いのか。意味がわからない。


 そもそもお前は誰だ?






 何度か跳躍、着地を繰り返す。既に私はぐったりとしていた。何度も何度も慣れない浮遊感に酔ったらしい。

 空は赤く染まりつつある、夕方だ。ランジットはどうしただろう。




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